2021年4月3日土曜日

声明                               罰則付きで登記を義務化し共有地を奪う登記義務化法案に反対する

 一般社団法人三里塚大地共有運動の会(山口幸夫代表理事)

1.未登記に過料10万円

 3月5日、菅政権は相続・転居時の登記を罰則付きで義務化づける民法や不動産登記法の改定案、新法の相続土地国庫帰属法案を閣議決定しました。今通常国会で成立させようとしています。
 法案は、所有者不明土地対策を口実に不動産登記法を改定。土地を相続した相続人に取得を知った日から3年以内の相続登記の申請を義務化。違反への罰則として、行政罰の過料10万円以下。また、転居に伴う住所変更などの場合でも、2年以内の変更登記の申請を義務づけ、違反すれば過料5万円以下となります。
 これまで土地登記は権利であり、財産権の保障を定めた憲法の下、所有者・相続人が相続・住所移転の登記をしてなくとも、土地の所有権・共有権が失われることはありませんでした。それが登記をしなければ、土地が奪われる制度へと根本から変えられようとしています。

2.所有者不明土地対策を口実に

 2017年、所有者不明土地対策を「成長戦略」の一環に位置付けた安倍政権によって、所有者不明土地対策の法制化の動きが始まりました。
 18年6月、所有者不明土地利用円滑化特別措置法が成立。公共工事の妨げになっている所有者不明土地について都道府県の収用委員会の審理を経ずに取得できるようにする土地収用法特例(19年6月1日施行)が作られました。所有者不明土地収用について、公開審理など収用委員会の関与はなくなり、知事の判断だけで収用裁決ができるという制度改悪が行われました。
 19年5月、法制化第2弾として「表題部所有者不明土地の登記・管理適正化法」が成立。これは、「表題部所有者不明土地」の登記・管理の適正化を図る措置として、①登記官に所有者探索のための調査権限付与、探索結果を登記に反映。②所有者を特定できなかった「表題部所有者不明土地」について、裁判所の選任した管理者の管理を可能とする法律です。
 共有者の一部を特定できない共有地は所有者不明土地となり、「管理」には売却が含まれます。登記官が調査して所有者が分からない場合、代金を法務局に供託して裁判所任命の管理者から買収できる制度になりました。
 今回の法案は「複数の人が共有する土地で一部の共有者が不明の場合、相当額の供託により不明者の持ち分の取得・売却を可能に。不明者への公告を経れば残る共有者の同意で土地を利用できるようにもする」(朝日新聞、3月6日)
 「所有者がわからない土地については、裁判所が管理人を選び、所有者に代わって管理や売却を行うことができる制度を設けるほか、相続した人から遺産分割の請求が無いまま10年が経過した場合は、法律で定められた割合に応じて分割する」(NHK、3月5日)という所有者、共有者が分からない土地を確実にとりあげられるようにする内容になっています。

3.共有地を守り抜こう!

 私たち一般社団法人三里塚大地共有運動の会は、半世紀を超える三里塚闘争の一坪共有運動を継承し発展させるために、2018年10月に結成しました。政府・成田空港会社が成田第3滑走路2028年度完成の機能強化計画(2018年3月)を出してきたのに対して、一方的に建設された空港施設に囲まれながら、存在する共有地を全国の共有者・仲間と守り抜くために、法人への共有地の登記変更、共有地の管理、連帯運動に取り組んでいます。
 今回の登記法案は、一部の共有者が不明な場合でも、他の共有者の同意だけで土地を処分できるなど、登記を行わない土地所有者・共有者から土地・共有地を取り上げることを合法化しようとする内容です。
 相続登記、変更登記をしない共有地を奪う登記義務化法案制定に反対しよう! (2021年3月)

一般社団法人三里塚大地共有運動の会(山口幸夫代表理事)
東京都渋谷区初台1-50-4-103 TEL03-3372-9408 FAX03-3372-9402

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