2024年1月15日月曜日

報告:2024反対同盟旗開き

  三里塚芝山連合空港反対同盟 (代表世話人・柳川秀夫)は、1月7日、横堀農業研修センターで「2024反対同盟旗開き」を行い43人が参加した。

 成田国際空港会社は8月2日、横堀農業研修センターの建物を撤去し、土地を強奪するために三里塚反対同盟と共有者を千葉地裁に提訴した。反対同盟は、この不当な攻撃に対して「横堀農業研修センターの裁判による破壊・土地強奪を許すな!成田第3滑走路反対!」のスローガンを掲げ、裁判闘争を闘いぬく決意を明らかにしている。また、柳川秀夫さん、鎌田慧さんらの呼びかけで「横堀農業研修センター(旧労農合宿所)裁判を支える会」を立ち上げ、裁判カンパ、賛同人などの取り組みを行っている。
 旗開きは、1月29日、横堀農業研修センター裁判第1回口頭弁論(千葉地方裁判所601号法廷/14時30分集合・開廷15時)および今後の裁判闘争に向けた意志一致の場となった。
 なお4日、成田国際空港会社(NAA)の仕事始め式で田村明比古社長は、空港機能強化の一環として「ワンターミナル構想」(現在3カ所に分かれている成田空港旅客ターミナルの集約化)をぶち上げたが、結局、なんら具体化に向けて進んでいないことを吐露せざるをえなかった。第3滑走路関連工事にしても準備工事として高谷川の排水整備工事(産経/12・6)を開始しているにすぎない。
 だから新型コロナ時の利用者激減から「回復傾向」にあると言うが、「暗くて長いトンネルから全身を脱出し、広くて明るい空間に手足を思いっきり伸ばして飛躍していかねばならない」と「決意」を言うしかないのだ。
 空港会社は、準備工事開始にあたって「周辺に住む方々への影響を考慮しながら、着実に工事を進めたい」(産経/12・6)と述べ、工事強行を押し進めていこうとしている。環境破壊・人権侵害に満ちた空港機能強化の野望を打ち砕いていこう。

柳川さんの発言

 山崎宏さん(一般社団法人三里塚大地共有運動の会)の司会で旗開きが始まった。
 柳川さんは、「58年前、大事なものを守ろうと古村も開拓部落も立ち上がった。農村は封建的だったが、家族が暮らし続けるという大事なものが壊されようとしているのに対して立ち上がった。いまは村落共同体が崩壊し、価値観が壊された。見えなくなった守るものをもう1回作り直していくことが大きな課題だ。
 横堀農業研修センターを奪うための裁判が始まる。いま環境が生存を脅かし、作物に影響する時代。滑走路を大きくし、空港を巨大化するという考え方は絶対受け入れられない。これからも皆さんと一緒に闘っていきたい」と発言。
 大森武徳さん(東峰・らっきょう工場/一般社団法人三里塚大地共有運動の会)は「木の根のイベントに来る人に三里塚の歴史を説明すると、補修に協力するという声が上がる。壁画作りも考えている。
 40~50年前、私の両親も支援として三里塚に駆けつけた。当時20~30代の活動家が、子どものために『子ども共和国』など一生懸命やってくれた。私たちが横堀、木の根の補修に取り組むことが縦のつながり、10、20年後に子どもの世代が土地を守ってくれることにつながればと取り組んでいる」と述べた。

加瀬さんのメッセージ

 加瀬勉さん(多古町)のメッセージ(要旨)が紹介された。
 「戦争が起こっている。ロシヤとウクライナ。イスラエルによってガザの人民が虐殺されて犠牲になっている。日本も戦争国家への社会体制を作りつつある。われわれはこれを阻止する歴史的責任がある。憲法改正、軍事予算の増税、沖縄の軍事基地強化、安全保障重要土地指定、空港・港湾軍事的利用インフラ整備、三里塚空港拡大強化に反対していこう。

 地球環境の破壊によって異常気象が発生している。温暖化、洪水、海洋国水没、干ばつ、砂漠化、森林火災が日常的に発生し、人類の平和的生存が脅かされている。世界的に食料生産が停滞、減少して食料を世界中から買い漁る時代は終わった。戦後自作農経営は完全に変質崩壊して、生産共同体の集落は過疎化し、限界集落化して食料生産の自給率は18%に下落した。
 主体的条件だが、革新勢力と言われ、平和勢力と言われた政治団体、労働団体が体制内化してこれらの条件に対応する能力がない。自民党が自壊作用を起こしているのに反撃打倒できない。
 支配、差別、搾取あるところに人民の闘い反抗あり。私は『星火燎原』を信じる。小さな火花もやがて荒野を焼きつくすであろう。今回の裁判闘争が日本の階級闘争の火花に、人民の希望の光になるか、新しい時代を切り開く魁になるか、われわれの主体的決意にかかっている」。

平野さんのメッセージ

 平野靖識さん(三里塚歴史考証/東峰らっきょう工場)のメッセージ(要旨)が紹介された。
 「ことしはいわゆる空港機能強化策がさまざまな壁にぶちあたり、矛盾点が明らかになる年だと思います。
 第1 立ち退きを迫られる第3滑走路敷地内200戸、騒音区域内1078戸のうち空港会社が公式に認めた契約者数は騒音区域の173戸(13・5%)。まだ多くの家々の移転先が決まらず、用地取得が進んでいません。これは移転先を空港会社が用意するのではなく、個々の責任で探さなくてはならないところからきています。
 第2 空港周辺住民から夜間飛行差し止めの騒音公害訴訟が起こされました。夜間飛行停止4時間が離発着50万回達成の前提ですから、この裁判は国と空港にとって脅威となります。
 第3 コロナ禍で削られた航空産業の人手不足が解消しません。成田空港の機能強化策では雇用の創出がうたわれますが、人口減少社会では雇用の創出は重要な意味を持ちません。
 第4 脱炭素の時代の要請の中で、高価なエコ燃料への需要が高まり、燃料高、総じて航空便数の低下・増加度の低減がすう勢です。
 第5、建設業者が集まらない、建設費用が膨張する、事業採算割れ、再検討も課題に。
 第6 2021年7月に静岡県熱海市伊豆山地区の土石・土砂搬入の用地造成には社会の眼が厳しくなっています。原発汚染土の混入などが取りざたされるようなことがあれば、周辺の人々の不安、怒りはさらに高まるでしょう。
 第7 第3滑走路との接続点に横堀農業研修センターがある。これがなかなか難敵、等々。私たちは、自分たちの闘いとして横堀農業研修センターを断固守り抜きましょう」。

 続いて、連帯アピールが渡邊充春さん(関西三里塚闘争に連帯する会、三里塚相談会)、中川憲一さん(管制塔被告団/横堀農業研修センター裁判を支える会)、野島美香さん(横堀農業研修センター裁判を支える会)から行われた。
 繁山達郎事務局長(一般社団法人三里塚大地共有運動の会)は、「 所有者不明土地対策を口実に共有地を奪う『登記義務化法』の2024年相続登記義務化、2026年住所・氏名変更登記義務化が施行される。共有地を守り抜くための登記変更、カンパへの協力を引き続き呼びかけます」と呼びかけた。
 最後に芝崎真吾さん(連帯社)の団結ガンバローで闘うスクラムを打ち固めた。


1・7東峰現地行動

 旗開き終了後、1・7東峰現地行動(主催:三里塚空港に反対する連絡会 共催:三里塚大地共有運動の会/旧東峰共同出荷跡)が「第3滑走路建設反対!横堀農業研修センター破壊を許さない!」のスローガンを掲げ取り組まれた。
 開拓道路から成田空港滑走路に向けて抗議のシュプレヒコールを響かせた。

(Y)