2024年9月28日土曜日

報告:横堀農業研修センター裁判現地学習会

  9月21日、横堀農業研修センター裁判を支える会、一般社団法人三里塚大地共有運動の会は、横堀農業研修センターで「横堀農業研修センター裁判現地学習会」を行った。
 午前は、「横堀壁画プロジェクト2024」が製作した「横堀風景」壁画の設置作業を取り組んだ。10数人でコンパネに描いた絵を、単管パイプで作った柱に取り付けた。
 「横堀風景」画の正面右に熱田一さん、熱田テルさんがおり、大きなにオニギリを持っている。さらに畑作業、草取りから左端は横堀鉄塔下で空港をにらみつけている「闘う農民像」が描かれている。正面の青い地球は成田空港拡張によって環境破壊にひた走る現在への抗議だ。三里塚大地共有運動の会が掲げた「ストップ!温暖化!成田空港はまだ田畑山林(東京ディズニーランド20コ分!)をつぶすのか」のスローガンを表現しているだろう。

空港会社の主張を批判

 午後は、辻和夫さん(三里塚大地共有運動の会事務局)による「横堀農業研修センター裁判の紹介と解説」というテーマで報告(①横堀農業研修センターとは ②反対同盟と共有者が提訴された ③ずさんな地番問題 ④全面的価格補償という名の強奪 ⑤話し合い解決を否定 ⑤「新しい成田空港構想」(成田空港会社)、「成田空港を核とした国際航空物流拠点機能強化について」(国土交通省)批判)した。
 すでに横堀の入口、小屋場(こやば)は第3滑走路工事のため木々が切られていた。学習会は、政府・空港会社の環境破壊、周辺住民の生存権破壊までして空港生き残りへと加速している姿を浮き彫りにした。逆に横堀農業研修センター、横堀鉄塔、案山子亭などの拠点によって空港会社の横暴なやり方を止めていることを明らかにしている。
 終了後、参加者全体で柳川秀夫さん宅を訪問し、壁画作業、横堀農業研修センター裁判の取り組みなどを報告した。(Y)



2024年9月1日日曜日

「新しい成田空港構想」を読む  空港生き残りで周辺住民が犠牲に

 成田空港会社田村明比古社長は7月3日、国土交通省を訪れ、再編内容をとりまとめた「新しい成田空港構想」報告書を提出した。

 構想の目玉は、3か所に分散した現行の旅客ターミナルを1か所に集約するワンターミナル化と、分散する貨物施設を1か所にまとめた新貨物地区の整備で、30年代前半の一部供用開始を目指す。
 報告書のイラストによると新ワンターミナルは横堀、木の根に造られる。新貨物地区は新ターミナルの北東、一鍬田(ひとくわだ・多古町)、中谷津(芝山町)に配置される。
 国際線旅客数は増加傾向ではあるものの、アジア圏の他空港の旅客数が大きく伸びており、旅客数ランキングでは2000年の8位から2019年の18位と徐々にランクを下げている。貨物は金額ベースで日本最大の貿易港であり、国内航空貨物の6割を扱っている。しかし、貨物においてもアジアや中東の空港に遅れをとり、やはり徐々に順位を落としている。
 成田空港が生き残るにはどうするのか。生産拠点の海外移転や人口減少で、日本発着の貨物(輸出・輸入)に頼っていては取扱量の増大は見込めない。旅客や貨物を増やすためには、ハブ空港となり、乗継客や継越貨物を取込まなければならない。そのために貨物地区は物流事業者が利用しやすい施設をつくるというのだ。さらに、隣接する多古町飯笹(鷹ノ巣)地区(70ha)に計画されている豪州グッドマングループの国際物流拠点との一体的運用も考え、建設中の圏央道に新たなインターチェンジを造ることも求めている。
 課題は、アクセス問題や人手不足、隣接地の農地転用規制など山積みだ。最大の課題は8000億円と試算された事業費。空港会社では調達できないため、新滑走路の整備と並ぶ国家プロジェクトとして国に頼りたいのだ。 報告書には「地域共生まちづくり」の項目もある。歴史的経緯から「空港周辺地域の開発は部分的なものにとどまってきた」「ビジネス街区」「人材確保のための教育施設や住宅街の整備の開発が大きく進展しない状況」と総括し、この地域が農村であり農業で生きてきたことを否定している。空港を中心とした空港のための人材・まちづくりを、行政と一体で進めるとしか読めない。
 熊谷千葉県知事は空港会社社長、自民党議員らと、7月29日首相官邸を訪ね岸田首相に要望書を提出した。要望書は、成田空港を核とした物流・産業機能の充実を求める内容で、国家戦略特区の活用も求めた。首相は「国家プロジェクトとして国際航空物流拠点の機能強化が図られるようにしっかりと対応したい」と述べ、8月にも国家戦略特区諮問会議を開いて議論する考えを示した。農地よりも物流が大事だと言っている(T)