10月9日、横堀農業研修センター第2回裁判控訴審傍聴行動が行われた。東京高裁は、不当にもこの日で審理を打ち切り、結審としてきた。
9日、横堀農業研修センター裁判を支える会は正午から裁判所門前で宣伝行動を行った。
傍聴券配布を前に、門前でシュプレヒコールを上げ、入廷行進を行った。隣ではこの日、東京地裁で裁判があった気候正義訴訟原告が集まっていた。
午後3時に第101号法廷で裁判が開廷。傍聴は65人。裁判では書面を陳述したとする手続きを行った。
相澤眞木裁判長は藤井成田空港会社長、熊谷千葉県知事の証人申請と調査嘱託申立を却下。125-1の地番問題については両者に争いがないと一方的にまとめ、「そこを争っているんだ」という抗議の声が上がる中、弁論終結を宣言。追加の書面が提出されれば読むとしたが、一方的に結審とされた。
閉廷後、弁護士会館で裁判報告集会を行い、54人が参加した。
集会で辻和夫さん(事務局)は「空港会社側は一昨日まで書面を出してきた。こちらが要求してない研修センター庭に生えているシュロの木の補償を払うと言ってきた。
合宿所利用者が植えたサザンカ、サルスベリ、ムクゲ、サクラについて請求したが、空港会社はそこはお前たちの土地ではないと補償を拒否。算定根拠は公共用地の算出基準。井戸ポンプの補償については井戸ポンプは動かせると拒否。掘った穴について20万円補償するとした。
それ以外の大事な争点については、こちらがいくら主張しても関係ないとして、審理が打ち切られた」
清井礼司弁護士は「控訴審の審理開始が遅れたのは不可思議だった。裁判長は審理を打ち切って判決を書くと言った。どういう判断を出すのか。ふたを開けてみないと分からない。
よくあるのが控訴棄却。こちらの主張を会社側が部分的に認めていることがあるので、そこがどのように判決に反映されるのか、今のところ予測がつかない。
これから提出の書面を読みますという言質を得たので、最後の抵抗として判決日まで言えることは書面で出そう。ともかく書面を出すのが控訴審の最後の闘いになる。
判決の中身によっては上告申し立てという手続きを踏むことになる。
基本的な考え方は1日でも長く、土地を守る基本的立場に立って最高裁にもっていくのが、これまでの皆さんとの約束。その面でも協力をお願いしたい」
被告である柳川秀夫さん(三里塚芝山連合空港反対同盟)からコメントが寄せられた。
「本日お集りの皆様ごくろうさまです。
今回も参加できずすみません。
控訴審も2回目となり、その成りゆきはわかりませんが。空港会社が29年の滑走路供用を変更したことを踏まえ、物事の筋道を明らかにすべく、十分な審理が行われることを願うほかありません。
周知のように、いたるところで水害が続き、台風も休むことなく発生し、気候の変動が身近で思い知ることになってしまっています。
三里塚や周辺でもひどい地域からすればくらべものになりませんが、田畑は池になり、作物が何日も水没するなど、様々ひどいことがありました。
気候の専門の人達は、これ以上悪化することを抑える努力の時期は今がギリギリとしています。
そんな状況下、コンクリートで覆う滑走路造りは言わずと知れていることです。
この度の裁判にあって、広義において熟慮してほしいところだ。 2026年10月9日 柳川秀夫」
被告の佐藤幸子さんは「今回は何という裁判だったんだろうか。毎回大体そうだが。弁護士から、ぎりぎりまで投げ出すことなく、こちらは言いたいことを徹底して提出するんだという決意表明がされたが、全面的に賛同したい。
柳川さんはあいさつで今回の台風被害について述べているが。印旛沼の近くに住んでいて、被害を見て回った。ここで生活できるのかがひしひしと伝わる現況だった。農業者の悔しさはたまったものではない。専門家からはこれがずっと続くと言われている。
こういう現実を目の当たりにしながら、空港会社は空港を作ることに疑問を呈していない。こういうところで生きていたくないという理不尽さを今回感じた。
改めて自分はなぜ空港に反対していくのかについて確信を深めている今日この頃。ギリギリ最後まで皆さんとがんばっていきたい、横堀に行く途中、土砂崩れがあったので、皆さん気を付けて車を走らせてください」
被告の吉澤茂さんは「今回の裁判はいくつか争点を争っているが。私が一番ひっかるのは125-1の地番問題。今日、裁判長はお互い争点がないようなことを言っていたが。違う地番で土地の取上げをするということがまかり通っていいのか。どうしても腑に落ちない。それをおおむね特定されているという主張でやり通す。納得できない。今日の話を聞いていて痛感した次第。
裁判所は来年1月で終わりにすると言っているみたいだが、こちらの方で抵抗を続けられる手立てを見つけられたらいいと思う」
関西の山田謙さんは「7月の裁判には13名の関西の仲間が参加。翌日、三里塚をフィールドワークした。関西では司法書士に依頼して、一坪共有地の名義の共有者から共有運動の会への変更を進めている。1月には関西旗開き・三里塚60年の集いを行う」
辻さんは裁判の準備書面について説明し「今回傍聴席から見て右側の裁判官が変更になった。こちらは研修センターの井戸が一体と主張したが、会社側はポンプは容易に移動できるという言い方。こちらの準備書面では明治35年の判例を出して一体のものと主張している。」
清井弁護士は「地下の水が流れているところから地上まで一体でつながって分離できないものという古い民法上の考え方からすれば、こちらの主張は通るのではないか。それを前提にして、裁判所の目を引き付けるように書いた」
辻さんは「この裁判でこちらが一番主張しているのは、『あらゆる意味で強制的手段を使わない』という円卓会議合意を反対同盟、国・空港公団、地域社会が受け入れた。その約束を反故にして裁判に訴えた。藤井NAA社長・熊谷県知事の証人尋問を求めてきたのは、約束が理解されているのかを問うため。
それに対して会社はこの裁判はただの土地の分割の問題だから必要ないと。こちらは逃げているだけだと批判してきた。
裁判所はそんな面倒なことはやりたくないというのが本音か。これまでも横堀現闘本部裁判など共有地裁判では全面的価格賠償方式で負けている。
こちらは会社側が言っている建物が間違っていると主張。いわゆる図書館は木造なのに訴状で軽量鉄骨造と言ってきた。地裁判決でも間違ったままだった。こちらが控訴理由書で間違いを指摘したら、6月の書面で訂正してきた。判決を急いでいる。
納屋も焼損建物と訴状から間違って書いてきた。指摘したら、これも訂正。
センターの建物に入ると、89年裁判所が出した建物の利用・改築制限の仮処分告示が貼ってある。
自分たちで認定しておきながら、その建物の構造を間違っている。それくらい空港会社は雑。自分たちが過去に何をやったのか分かってない。
地番問題も、公団は70年代に気づいてなければおかしいのに89年火事まで黙っていた。裁判書面を見ると、火事直前まで公団も気づかなかったようだ。
それを明らかになるために、公図の調査を求めたが、裁判所は却下してきた。
空港会社にとって一つの地番など大したことないのかもしれないが。そこに長く住む人にとっては大事」
鈴村多賀志さんは地番問題について「番地は必ず入る。重要な問題だと考えている。
センター建物が立っている土地は尾野家が最初に分筆したときは125-1番。それで郵便が届き、プロパンも電気もその番地。
それが法務局にある図面では37メートルも移動している。その経過を明らかにしなければいけない。37メートルも離れていれば、執行の対象地域も違ってくる。匝瑳法務局で経過が分かる図面を求めたが示されなかった。だから、裁判所からの調査嘱託を求めた。
今日、裁判長は双方異存はないですねとした。空港会社は番地が違っても、取り上げる場所があそこだということは双方分かっているから、いいだろうという主張。
それに納得してないからこちらは準備書面、調査嘱託依頼も出しているのに、裁判長はこちらの書面を読んでいるのか疑問。今後出す書面で納得しないということをきちんと書かないと」
清井弁護士は「今のままで執行官は強制執行できるのかというのに関係するのに、空港会社はとんちんかんなことをしている」
辻さんは「尾野さんは1952年、125番の土地を宅地の125-1とそれ以外の125-2に分筆。125-1は共有地となり、1972年公団は125-2を買収。その時公団は測量してないのか。裁判で会社は72年の契約書、登記簿と実際の面積は違うという書面を出している。公団は公図とのずれを本当に知らなかったのか、知っていたのに黙っていたのか。
1977年4月、公団はここに杭を打っているので、境界だと認識していた。
千葉地裁の時、杭の確認について空港会社と話をしたが、ユンボで掘り返さないと分からないと言ったので、激しいやり取りになった。
公団は125-1番地は角の土地だったからと。89年125-1とされてきた場所を125-3として登記し直した。今回その土地をよこせと言ってきた。
ただ、柳川さんたち被告の共有地の登記簿上の登記は125-1だ。」
「報道では10月28日から、土地収用法を適用するための事前説明会を10月28日成田市、11月7日多古町、11月11日芝山町で開催。研修センターの土地は空港拡張用地で空港会社が契約できていない100ヘクタールの一部。広い意味では事業認定の対象になるはず。研修センター共有者は土地収用法の関係者になる。」
樋ケ守男さんは成田空港夜間飛行差止訴訟について発言。
「10月16日発売の週刊金曜日は『成田空港60年 破られた住民との約束』という特集号。私の記事も4頁。強制収用と言っているのはC滑走路と中谷津・一鍬田の空港用地。今意見を公募する段階だが、地主の小川潔さんが会社に問合せをしたら、一切決まっていないと秘密にされている。
C滑走路が開業すれば、スライド運用で各滑走路7時間の静穏時間を設けると言うが、実際は4時間。地域全体の睡眠時間が4時間以下となる。
今回は騒音地域住民や氾濫が起きる下流地域住民の発言の場になっていいはず。10月28日説明会は夜間騒音訴訟があり、原告は出席できない。前回の質問に対する答えを要求しに行くので、第2回申入書を準備中」
最後に10月24日の三里塚フィールドワーク、大地共有運動の会総会、1月旗開き、判決傍聴が呼びかけられた。
判決は2027年1月21日午後3時、東京高裁101号法廷。


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